アマ王将巡り② 9/10 北陸編

大会

大会前

四国予選から一週間後。今回の北陸は当日入りは難しいので前日入りすることに。大阪からはサンダーバードで金沢駅へ。サンダーバードは何回か乗っているのですが、自由席で行くと席が混んでて立ちっぱなしのことも多々あったので今回は指定席をちゃんと買いました。

現地では天気も良く、金沢駅のトレードマークの鼓門も綺麗に見えました。以前来たときは冬だったせいか風もみぞれが凄くて日本海側気候の厳しさを目の当たりにしたので晴れててホッとしました(笑)

昼食を取るために駅近くの回転寿司屋さんに行ったのですが、物凄い人気で、開店直後に行ったにも拘らず1時間ほど待っての入店。北陸名物のネタのセットを頼んだのですが非常に美味しかったです。特に海老が甘くて最高でした。

大会当日は、金沢駅からバスで会場まで移動。バス停で知り合いと合流。関東や中部からも多くの人が来ているようで、やはりレベルが高いです。会場到着後も北陸の知り合いやベテラン強豪とお話が出来てよかったです。

大会

北陸大会の参加人数は64名前後。予選(1勝通過2敗失格)の後に本戦で、持ち時間は25切れでした。

個人的に切れ負けは得意ではないですが、苦手でもなく。ただ、いつも以上に時間を意識して戦うようにしました。戦型も読みよりも感覚で指せる振り飛車メインで行くことに。

初戦は北陸の方と。図は先手の私が▲2九飛車と引いたところ。雁木への右四間へはこの2九飛車型が非常に優秀(3九角の攻め筋を消している、3五歩の逆襲に強い)で、ここまで組めたら簡単には潰されない印象です。

終盤戦までペースを握り、下図は優勢な局面ですがここで▲5六金の活用が味良く以下は勝ち。予選通過を決めました。

本戦前に昼食のお弁当を貰ったのですが、海鮮系で美味しいお弁当でした。

さて、本戦の当たりを見てみると、かなり強豪が集まっている山に入ってしまい、もし勝ち上がればハードな連戦になると感じました。

本戦1回戦はシードでした。

2回戦は関東の方。全国でも活躍されているアマ強豪で初手合いの相手です。今回は切れ負けということもあり先手ではありますが、エース戦法のノマ三穴を選択。普段は千日手を嫌って先手で振り飛車はほとんど指さないのですが、仮に千日手になったとしてもこちらの持ち時間の消費が少なければそれで良いという考えでいました。

相穴熊となり、下図は居飛車が6筋から動いてきましたが、ここで▲7五角が振り飛車らしい捌き。以下△5三銀に▲7七桂で難しいですが、振り飛車の駒が働きそうで不満のない形。

下図は最終盤戦。中盤以降の優勢をキープできず、ここでは苦しくなっています。ただ、持ち時間が相手が数分に対してこちらが3~5分ほど多く残していました。ここで▲4二竜から▲3九金打が切れ負けならではの手。竜を逃げるほうが将棋としては正しいですが、そうするとこちらに▲4五歩から1三香車のような手が間に合い、相手は受けに時間を費やして時間切れ負けの懸念もあります。そのため実戦は竜を切ってきました。

進んで下図。時間切迫による攻め間違いが生じてここではこちらが勝ちの形勢に。ここで▲3八飛車打が受けの決め手。以下は攻めが遠のいた瞬間に▲2三桂~▲3三角成~▲1三歩成が決まって勝ち切ることが出来ました。

本戦3回戦も関東の方。各地のアマ王将予選に精力的に参加されている強豪です。以前アマ王将予選で当たった際には負けています。急戦+手厚い受け将棋といった印象の棋風です。

戦型はノマ三穴対急戦に。下図の居飛車の急戦の形はかなり優秀で、振り飛車側が美濃囲いの場合は見た目以上に勝ちにくいのですが、穴熊であれば玉の遠さを活かして戦えることを知っていたので誘導しました。

下図は相手が端歩を突いた局面ですが、ここで▲3五歩~▲4六歩が振り穴対急戦の面白い手筋。狙いは3筋に飛車を振り戻す袖飛車でそれに備えて居飛車が受けに回ると角道が止まったり、飛車側の攻めが遅くなるなどのメリットがあります。

昔読んだ「振り飛車ワールド」という本にこの指し方は地方のアマ強豪の方(確か新潟だったか?)が指していた手と解説されていた記憶があります。如何にも人間の振り飛車らしい実戦的な手に見えますが、実はソフト的にも最善の手法らしく、将棋の奥深さを感じました。

駒がぶつかってから難しい展開が続いていましたが、ここで▲6五桂が悪手。△8七飛成をうっかりして一気に苦しくなりました。▲8五歩ならまだ互角の将棋でした。

△8七飛成から▲3四歩、△2四銀、▲3三桂に△3一金と寄った局面。これがこの将棋の敗着となるのが将棋の難しいところ。▲8八飛車!とぶつけるのが振り穴らしい豪快な一手。△6七竜と銀をタダで取られますが、以下▲8二飛車成、△62歩、▲63歩と打つのが厳しい一手に。

△同金の一手に▲9一竜が厳しい形で、勝負手として放った▲3筋の楔達が輝いています。実戦はこの後も攻めが決まり勝ちに。強豪相手に苦しい将棋を逆転できて大きな自信になりました。

ベスト8戦は北陸の方。同級生で、学生大会では常に上位にいて学生全国優勝も何度かしています。昔からある程度意識している相手ですが、普段からネットでVSを一緒にしたり、LINEで将棋の相談に乗ってもらったり、一緒に旅行したりととてもお世話になっています。しかし、大会では五分五分の戦績のものの、練習では3割も勝てておらず実力的には格上の相手。

ただ、彼は直前の対局で優勝候補の相手との激戦で少なからず消耗をしており、持ち時間も切れ負けということもあり、更にこちらには隠し玉もあったので勝負の設定としては五分五分だと思っていました。

下図は△7四歩と隠し玉の変化球を投げた局面。彼との直前のVSでは△6四銀と上がって▲6六歩と突かれた形で負けたので変化をしてみました。狙いとしては▲9八香車なら△6四銀で▲6六歩なら△7五歩から袖飛車を見ています。本譜は少考で▲7八金でしたが、これならやや無難で以下△6四銀、▲6六銀で通常形へ。

△7四歩に対して最善は▲9八香車、△6四銀に堂々と▲9九玉と引く手。以下△6五銀には▲8六角と上がり、▲5三角成~▲5四馬を狙います。そのため、一旦△5二金と上がりますが、そこで▲6八金寄、△7六銀に▲7八金寄とするのが正しい受け方。金ではなく、先に▲8八銀だとこの瞬間に△8五銀~△7六銀で千日手に持ち込まれるため、この受け方が最善になります。この形であれば一歩は取られましたが、居飛車は十分な穴熊に組むことができるので作戦勝ちです。

ただ、振り飛車も△8五銀から△9六銀と端を攻める手や7筋を伸ばしていく手もあり評価値以上に居飛車が嫌な展開だと思っていました。

この正しい手順は事前に知っておかないと指せない類のもので、ましてや切れ負けの序盤で時間を使って考えるのは難しいです。更に前局で時計の叩き合いをした後だと時間を残す意識の方が強くなるはず。そして、それを乗り越えた後も実戦的な嫌味が残る展開になるので採用をしました。

ちなみにこの対局の後もこの序盤を何回か試していますが、咎められたことは一度もなかったので、人間的には相当指しにくい手順だということは間違いないです。

先に▲8八銀だとこの瞬間に△8五銀~△7六銀で千日手に持ち込まれる。

序盤の作戦や背景が長くなりましたが、駒組みが終わって下図は▲5七銀と角交換を挑んだ手。自然な手に見えますが、この手以降、形勢の針が先手に触れることはなかったため、事実上の敗着になってしまいました。

角交換後に3筋を突き捨てて△4四角と打ってみると△3六飛車~2六飛車の飛車交換の狙いもあり、桂馬を跳ねた銀冠穴熊は非常に薄いために収拾の利かない形になっています。

終盤戦で▲6八銀と補強した局面ですが、ここで飛車を逃げずに△8五桂が厳しい一手。

下図の△7二金打が受けの決め手で以下は勝ち切ることができました。好敵手に勝つことが出来て非常に嬉しかったです。ただ、次はこういう風に勝てる気がしないので暫くは当たりたくないですね(汗)

四国大会に続いてのベスト4。強豪との連戦を重ねて勢いも感じておりこのまま代表まで勝ち上がりたいところ。相手は北陸の方。以前全国大会で指した際には負けています。相居飛車や相振り飛車を得意としている受け将棋のイメージです。

戦型は雁木に対して左美濃急戦へ。こういったコンパクトに堅く囲って素早く攻める現代将棋はかなり得意なので気分としては気楽でいました。

相手が△4二金寄とした局面。ここまでは経験もあったのでノータイムで進めていましたがここでやや長考。

少し進んで下図。ここでは▲4七金と桂頭をカバーしつつ、攻めの厚みを加えるのが本筋でした。ただ、個人的に囲いの金を三段目に上げて攻め駒に活用する手に抵抗感があるので選べませんでした。金(特に囲いの)を三段目に上げると相手の攻め駒に近づいてしまい、銀や桂で攻められて交換になって損という将棋観を持っているのでこういった手が中々選べない読みの癖があります。先入観を排除して、確かさを裏付けする読みの力が足らなかったです。

本譜は棋風通りに軽く▲2六飛車と浮きました。こちらも次善手なのですがここから攻めの軽さに悩み、持ち時間を消費することとなりました。

進んで、△2八角と攻めを催促された局面。本譜は長考の末に▲4五歩と合わせましたが微妙でした。ここでは▲7一角と打ち込むのが良く、△7二飛車には角を切ってから▲3三銀と攻め、△5二飛車であればそこで▲4五歩とすれば攻めの厚みが違いました。

終盤に入り、下図。ここで▲2三歩ならやや後手ペースですが互角の範疇でした。本譜は▲7一馬でしたが、これが攻め急ぎで、△4九飛車が攻防手に。本譜はここから竜を3四まで引き付けられて完全に受けきられました。

下図は後手鉄壁の形。最後は一瞬怪しくなるものの時計の叩き合いで時間が切れてしまい負けに。自分の弱さが出た一局でした。

大会後

大会後は知り合いと一緒にバスで金沢駅まで帰ることにしましたが、バスの運転手さんと雑談して夕食をどうするかの話をしたところ、この時間帯なら金沢駅近くのスーパーに行くと割引の寿司が売ってるかも?という話になり試しに行ってみると美味しそうな寿司達が割引されていました。ちょっと得した気分になって、負けて悔しい気持ちが少し晴れました(笑)

また、今回は三位入賞の賞品でジュースの詰め合わせを貰いました。賞品も豪華で来てよかったなと思いました。

翌日は観光がてらに「千里浜なぎさドライブウェイ」へ。ここは日本でも唯一、自動車が砂浜を走れる道路らしく、バスで通ることができて非常に良い経験になりました。天気も晴れてて海も綺麗で風も気持ちよかったです。

また、千里浜なぎさドライブウェイから少し行くと、和倉温泉という有名な温泉地があります。

今回は白鷺の湯 能登 海舟というところへ宿泊しました。部屋からは七尾湾が見え、客室露天風呂や窓辺にはデイベッドが付いた部屋で、自分の人生の中で一番豪華な旅館に宿泊しました。貸切風呂も使えたり食事も美味しくて最高でした。普段ならこういったところには費用的に泊まれないのですが、ちょうど楽天トラベルで定期的に行っている宿泊一万円割引クーポンを利用して通常より安く泊まることができました。少し遅めの夏休みを満喫出来てよかったです。

まとめ

厳しい山に入り、強豪達との連戦もありましたが四国予選に続いてベスト4入り。安定した結果に喜んでいる一方でベスト4の壁を破れないもどかしさを感じていましたが・・・

今回の戦績

ベスト4(今年2回目)

山陰編へ続く

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