【相振り飛車】▲6六歩から雁木囲い

序盤研究

今回は相振り飛車の記事。近年は振り飛車党でも相手が振り飛車の場合は居飛車を選択する、所謂対抗形党が増えていますが、相振り飛車も相居飛車の進化に伴い、面白いアイデアが出ています。今回紹介する作戦は居飛車党の方にもおすすめですので是非参考になれば幸いです。

初手から

▲7六歩 △3四歩 ▲6六歩 △3二飛 ▲7八銀 △3五歩
▲6七銀 △6二玉 ▲7七角 △7二銀 ▲8八飛 △7一玉
▲3八銀(途中図1)

途中図1

△5二金左 ▲5八金左 △3六歩 ▲同 歩 △同 飛
▲8六歩 △4二銀 ▲8五歩(第1図)

第1図

この3手目6六歩に3二飛車のオープニングは藤井システム全盛の時代に研究が進んだという印象を個人的に持っています。2000年代初頭は谷川先生や羽生世代のトップ棋士の居飛車党も相振り飛車に参戦していたと記憶していますね。

余談ですが、藤井猛九段の「相振り飛車を指しこなす本」全4巻はおすすめの名著ですので是非読んでみてください。

第1図から

△3四飛 ▲4六歩 △4四歩
▲3七歩 △4三銀 ▲4七銀(途中図2)

途中図2

△5四銀 ▲5六銀左 △1四歩
▲3八金 △1三角 ▲6五歩 △3三桂 ▲4八玉 △1二香
▲9六歩(第2図)

第2図

さて、相振り飛車の囲いといえば美濃囲い、金無双、矢倉、穴熊がメジャーですが、今回は雁木に組む形を目指していきます。第2図から△4五歩の攻めはかなり怖いですが、相手の歩が一枚のため▲同歩、△4六歩に▲3六銀と逃げてギリギリ凌いでいます。

とはいえ何もしないと先手の構えが▲6六角~7七桂と端攻めを狙いつつの好形となりどんどん良くなっていくため後手は無理気味でも仕掛けていきます

第2図から

△4五歩 ▲同 歩 △同 銀 ▲同 銀 △同 桂
▲4六歩 △3七桂成 ▲同 金 △2八銀 ▲4五銀 △7四飛
▲7五桂(結果図1)

結果図1

ここからの進行は一例ですが、結果図は先手が受け切った形。

矢倉に比べて雁木のメリットは4八玉形の時に固いです。守りの金(▲5八金)の位置が矢倉に比べて一段低いので狙われにくい。つまり攻め駒が剥がされにくいのが利点です。また、場合によっては玉側の桂馬を活用できるのも攻守共に大きいと思います。

第1図から

△4四歩 ▲4八玉 △4三銀 ▲3七歩(途中図3)

途中図3

△3二飛 ▲8四歩
△同 歩 ▲同 飛 △8三歩 ▲8六飛 △4五歩 ▲5六銀
△5四銀 ▲9六歩 △1四歩 ▲9五歩 △1五歩 ▲7五歩
△1三桂 ▲6五歩(第4図)

第4図

後手は浮き飛車から石田流に組んでも攻めることが出来なかったので引き飛車へ。対して先手は玉を▲4八のまま端とコビン攻めの準備を進めていきます。▲6五歩が意表の一着。角交換から△2八角と打つ攻めが見えていますが、▲4一角から金を貰ってから▲1八金(失敗図)と打てば問題ありません。

失敗図

第4図から

△7七角成 ▲同 桂 △2五桂 ▲2六歩
△1七桂成 ▲同 香 △1六歩 ▲同 香 △同 香 ▲7四歩(結果図2)

結果図2

何もしないと▲9五歩から端攻めで苦しくなってしまうので後手は無理気味に攻めますが、貰った桂香を活かして▲7四歩と突いた結果図2は先手優勢です。雁木囲いではないですが、▲4八玉型が意外と安定しており、後手は持ち駒を活かした反撃がしにくい格好です。

以上で簡単にはなりますが今回の記事を終えます。相振り飛車は攻め形も囲いも目指すべき形が見えにくいので実際の棋譜を交えて解説出来たら面白いかなと思っています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました