今回は居飛車が▲3六歩を突かずに駒組みをする形を解説していきたいと思います。
初手から▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △4四歩 ▲2五歩 △3三角
▲4八銀 △3二飛 ▲6八玉 △4二銀 ▲7八玉 △6二玉
▲5六歩 △7二玉 ▲5七銀 △8二玉 ▲7七角 △5四歩
▲8八玉 △5三銀 ▲9八香 △6四銀 ▲6六銀 △9二香
▲9九玉 △9一玉 ▲8八銀 △8二銀 ▲7九金 △7一金
▲5九金 △5一金 ▲6九金右 △6一金左 ▲7八金右 △7四歩
▲9六歩 △9四歩 ▲8六角(第1図)
▲3六歩を突かずに▲8六角が居飛車の工夫。浮き飛車を含みにしながら、飛車側に争点を作らずに玉頭で有利を取ろうという一手。具体的には5一角と引いた際に3五歩といった捌きも防いでいます。
こういった▲3六歩+▲3七桂よりも玉側に手を回し、また2六飛車と軽く指した際の飛車の可動域を残す指し方は対抗形の超持久戦では有力な指し方です。
第1図は端歩の交換が入っていない形ではプロの実戦例もあり、2020/3/13の木村vs橋本(竜王戦、敬称略)では以下△3五歩▲1六歩△4五歩と進み、難しい駒組みが続きましたが結果はこの後戦機を捉えた木村先生の勝ちとなっています。
ただ、▲1六歩と突かずに単に▲7五歩と突いて△7二飛▲7四歩△同飛▲6八角と3五の歩を狙われるほうが振り飛車はより嫌だったと思います。
よって▲8六角には単に△4五歩と突く。先手は△4五歩を突かせて争点を作ったので▲6八角と引く手もあるが得になっているかは微妙なので、さっそく仕掛けてみたいところ。
第1図から▲7五歩 △4六歩▲同 歩 △7五歩 ▲2四歩 △同 歩 ▲7五銀 △同 銀
▲同 角 △6四銀 ▲6六角 △4二飛 ▲3三角成 △同 桂▲6六角 △4六飛 ▲3三角成 △4九飛成 ▲1一馬 △3五角(第2図)
▲7五歩からはかなり直線的な変化。お互いに2筋と4筋の突き捨てを入れているのは大事な部分でこうすることによって飛車の捌きを狙いやすくしています。居飛車の▲6六角は攻防の角。桂香を2枚取られて振り飛車が悪そうですが△3五角が狙いの一手。相手の飛車の可動域を狭めながら、敵玉を睨むこちらも攻防の角です。
第2図から▲6六馬 △7七歩 ▲6八金寄 △同角成 ▲同 金 △7八金
▲同 金 △同歩成 ▲同 飛 △7七歩 ▲同 飛 △6五金
▲5七馬 △2九龍 ▲7九飛 △同 龍 ▲同 馬 △5九飛
▲6九香 △5七桂 ▲6八金 △6九桂成 ▲同 金 △1九飛成
▲4一飛 △7三香 ▲7八歩 △7六金 (結果図)
先手も負けじと▲6六馬と引き付け、△3九龍を防ぐ。何もしないと駒損が効いてくるので振り飛車は△7七歩からは騎虎の勢いで攻めていきます。△6五金や△7三香と攻防に駒を配置していった結果図は厳密には居飛車が少しいいが、振り飛車もまとまっていて実戦的には戦えると思う。
まとめると第1図から▲8六角は有力な手だが、振り飛車もしっかり対応すれば戦えます。
次回は第1図手前で▲8六角ではなく、▲6八角と指す手を解説します。
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