大会前
関西予選から三週間後。この間に赤旗の県大会があったのですが、結果は一回戦で酷い逆転負け。内容もさながら、県大会で一局で敗退することは経験したことがなかったので、かなりショックでした。
さて、北海道へは飛行機で。JALやANAでも早めに予約したり、よく行われているセールを利用すると安く利用できるのでありがたいですね。
ちなみに北海道へは、約1年前の冬に行われた北海道最強戦という優勝賞金10万円(!)の大会に参加するためにも来ています。この記事はその時に指した将棋の自戦記です。
そして、今回は札幌へは大会前日の夜に到着しました。実はこの前にかなり濃い北海道旅行をしているのですが・・・話が脱線しすぎるので今回は省略します。
今回のお宿はすすきのにあるカプセルホテル。長旅で疲れていたので、夜ご飯は北海道ではお馴染みのセイコーマートで夜ご飯を買って済ませることに。
また、暇つぶしと大会前のリラックスのため、漫画コーナーにあった「キングダム」を読んだのですが、これがとても面白かったです。王騎将軍カッコよすぎですね。そして実写映画の大沢たかおさんの完成度を再認識。



大会
まず、北海道大会は特殊な仕様で、札幌を除いた道内の地区の選手は、夏頃から行われる各地区予選を勝ち上がっていく必要があります。そして、札幌と道外の参加者は、この本戦の前日に行われるこの札幌予選を勝つ必要があります。通過者は例年8名程度のようです。
札幌予選は12時受付13時開始。今回の参加人数は44名で、その中で道外勢は私含めて4~5名ほどでした。形式は予選リーグ(1勝通過2敗失格)の後にトーナメントで、持ち時間は(たしか)15分か20分切れたら30秒でした。
本戦一回戦は関東の方。元奨励会三段経験でアマ名人やアマ王将全国優勝実績のある強豪です。
道内の参加者のほうが圧倒的に多い中、道外勢を引いてしまう自分のくじ運の悪さに思わず苦笑しました。ちなみに去年のアマ王将四国予選でも当たっているのでこれで二年連続ですね(汗)
さて、戦型はお相手の先手三間飛車ミレニアムにこちらの居飛車穴熊。

ここから△6二銀 ▲6八飛 △5三銀 ▲6九飛・・・以下千日手に。ここは△9四歩や単に△6四歩から打開してもまずまず指せると思います。
ただ、お相手があまり時間を消費せずに待機策をしていて、こちらから動いてもらってカウンターを仕掛けたい雰囲気を感じました。
それに加えて消費時間に大きな差がないので、格上相手には動くよりも確実に先手番を取って、駒組みでより作戦勝ちを目指したほうが勝算が高いとみて、千日手を受け入れました。この辺りはネット対局とは違う、大会での勝負将棋の妙ですね。
指し直し局はお相手の後手四間飛車にこちらの居飛車穴熊。

現局面は向かい飛車に振り直したところ。ここから▲7八金 △7一玉 ▲8六角 △6三銀引 ▲9九玉と手堅い駒組みを選択。

▲8六角はソフトが好む角上がり。意味合いの深い手なのですが、この場合は△9五歩~△9七歩~△8五桂の攻めを事前に緩和しています。

更に数手後、離れ駒を作らないように▲6八銀引としたのですが、これは少し硬すぎた手かもしれせん。
結局この後△4二飛~△4五歩に対して銀を戻すことになり、損をしました。▲3六歩と仕掛けを牽制した後に▲8八銀と上がっておくのが良かったです。

駒組みが煮詰まった序盤戦。ここで▲5九角 △1四歩 ▲3八飛 △4四角 ▲4八角 △5四歩 ▲6八銀がこの戦型で頻出する駒の繰り替えの手筋。

松尾流への移行を目指すと同時に仕掛けをするうえで働きの良い6八~5七のラインへ角を移動させようとしています。

戦いが始まった中盤戦。図の▲2八飛はややタイミングが遅かったです。
ここで2筋を受けずに△5六歩が好手。以下▲2四歩には△5五角から△5二飛が早い攻めです。
ということで本譜は▲5六同金でしたが、▲2四歩を突き捨てそびれてしまい、難しい捩じり合いの将棋に。

ジワジワとした指し手が続いた上図。ここで△5三歩! ▲3七桂 △4四歩!が鍛えの入った振り飛車という印象を感じさせる辛抱。
しかし、これがやや疑問で△4一飛と引き、以下△9五歩~△8五桂から持ち歩を活かして端を攻めるのがよかったようです。

本譜はここで▲5六金と寄って、△4一飛に▲4六歩と攻めの土台を作り直したのが好手順でやや居飛車ペースに。

こう進むと振り飛車は辛抱の歩を打ったものの仕掛けを抑えきれず、持ち歩が無くなってしまったのもかなり痛いです。

現在▲8五同歩とした局面。ここで指された△9一飛が自然な手でしたが敗着に。先に△3五角と角を捌いておかないとなりませんでした。
ここで▲4四角と捌いて一気に優勢になりました。

こう進むと、△2四角は働きが非常に悪いのに対して、次に▲4五桂や▲1一角成と香車を補充する手が非常に大きいです。

優勢の終盤戦。ここで▲8三歩 △同 玉 ▲8六歩が手筋の好手順。

玉の位置を近づけることによって将来の▲8五香を厳しくして攻めに制約を与えています。
実戦はこの後は「一手には一手」と、数の攻めに対して数の受けをして、後は貰った駒で反撃して勝ちに。強敵相手に良い勝ち方を出来て自信となる一局でした。
トーナメントブロック一回戦は北海道の方。局後に聞いたところ、道内の大学生とのことでした。
戦型はお相手の先手三間飛車にこちらの居飛車穴熊。

向かい飛車の振り直しからの歩交換に対して、△4四銀と上がった局面。ここで考えられて、▲6五歩 △4二角 ▲8七歩と自重されました。

しかし、これだとこちらの主張が通って、歩交換が手損になり大きく得をした形。ここは、△4四銀には▲9六歩 △4二角 ▲9七桂が振り飛車らしい軽い手順でした。

△7三桂と受けるのが自然ですが、以下 ▲8四歩が好手で、△同 飛に▲9五角 △8三飛に▲8五桂が軽快な捌き。

こうなるとコンパクトにまとまった振り飛車に比べて、後手の陣形は離れ駒や中途半端な手が目立ち、苦しいです。
厳密には、居飛車が後手の場合は△1二香、△4四銀、△7四歩の組み合わせは欲張りで危険な組み方だったかもしれません。

作戦勝ちから振り飛車の無理気味な仕掛けを丁寧に受け止めて勝勢になった終盤戦。ここで△5九馬と指したのですが、これは筋の悪い手でした。
代えて「馬は自陣に」の格言通りに△3三馬と引いておくか、攻めるなら△5六角成から△5七桂成と馬を受けに利かしながらが本手でした。
実戦は△5九馬に▲4六飛と切り飛ばされて▲4四桂と食らいつかれました。

これは先手玉が一瞬Zに近い形で遠く、対して攻め駒が急所に配置されています。
そのため、勝勢ながら一手のミスのダメージが大きい局面に。こうなると評価値以上に間違えやすく逆転の起きやすい形です。

勝勢ながら際どい最終盤。ここで玉頭の成香を放置して△4九角成が穴熊を活かして一手勝ちを目指す決め手。▲2二成香と取られてもこちらは詰みにくい恰好をしているため大丈夫です。

実戦は△4九角成 ▲3九金打 △3八馬 ▲同 金 △4八金として、持ち駒に金のない振り飛車は受けにくい格好に。以下は即詰みで勝ちに。優勢な時間は長かったものの反省の多い一局でもありました。
トーナメントブロック決勝は北海道の方。ここで勝てば明日の本戦へ出場が決まります。
戦型はこちらの後手三間飛車。

図から▲7八銀は何気ない手ですが、△6四歩 ▲3六歩 △7三桂が臨機応変な組み方。
穴熊よりも角筋に弱い左美濃を選択されたため、振り飛車穴熊ではなく、ミレニアムに囲ってからの攻勢を狙っています。

それを嫌ってか△7三桂に▲7九玉?と手損覚悟の駒組みをされたのですが、これは元気のない指し方で、振り飛車に不満のない展開に。

▲4六銀に対して△6五歩と突いたのですがこれが地味に厳しい一手でリードを奪うことに成功しました。
対して▲同 歩と取りたいですが、以下△同 桂 ▲8八角 △4五歩 ▲3三角成 △同 桂▲3七銀 △6六角が痛打。

こう進むと▲7九玉と引いても角の攻めを止めることができておらず振り飛車優勢です。

駒組みが更に進んで▲3七桂と跳ねたところ。これは危険な手で、△3五歩 ▲同 歩 △1五角 ▲2七飛 △6六歩 ▲同 角 △3六歩と進み、はっきり優勢に。

こうなってしまうと、居飛車は駒損だけでなく駒の配置が悪いのも痛いところですね。

▲9五歩は勝負手で、取ると▲9二歩の攻めを狙っています。
ここで壁銀を解消しつつ、端を補強する△8二銀が受けの好手。
以下▲9四歩 △4七と ▲9三歩成 △5七と ▲8二と △同 玉 ▲9一香成 △6七と ▲同 銀と一直線の攻め合いになりますが、そこで△6五桂が決め手に。

△6五桂は▲9三角のような攻めに△7三玉と逃げるスペースを用意しつつ、先手玉に迫る攻防手になっています。

最後は△9三角と綺麗な角捨ても出て即詰みに。柔軟な振り飛車での勝利となりました。
これで本日の予選は通過となったわけですが、道外勢では、私が初戦で当たった方を含めて何人か敗退されていました。関西関東の都市部の強豪が落ちるあたり、北海道将棋界のレベルの高さを感じます。
大会後
さて、大会後は道外勢+北海道将棋勢の知り合い達で飲み会へ。
写真にあるホッケは一年前に来た時に食べて感動した、お気に入りの逸品。北海道のものはかなり大きくて何よりも脂が乗って美味しいです。
また、カニ味噌の甲羅焼きも非常に美味で、地酒との相性も最高で大満足の一日でした。
お店を予約して連れ行ってくださった北海道勢の方には改めて感謝です。
その後、何名かは二次会に行っていたのですが、自分はお腹いっぱいになり、お酒も強くないのでそこで離脱。帰り道は10月なのに雨風がとても強くて寒かったので改めて北海道にいるんだなと思いました。



北海道 本戦へ続く。
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