大会前
今年最初のアマ王将戦。
しかし、台風の影響で大会当日に列車が運行するかというピンチ。瀬戸大橋線は台風でなくとも、強風でよく運行見合わせになるので0回戦負けを覚悟しました。結果としては無事に晴れて電車も動いたのですが、その影響か今回は関東勢の方はかなり少なかった印象。
ただ、急遽飛行機を確保して遠征してきた方や関東から北陸〜大阪ルートで来る(!)猛者もおられました。
大会
四国大会の参加人数は48名前後。形式は予選なしのトーナメントで、持ち時間は20‐30でした。
一回戦のお相手は四国の方。今年の学生大会全国優勝者です。
戦型はこちらの先手三間飛車穴熊で相穴熊。
こちらの石田流への組み換えに居飛車も銀冠穴熊に組み替えて△5五歩と仕掛けてきましたが、これがどうだったか。
以下、素直に銀交換して▲5六飛に△5四歩を利かしてから▲5三歩の垂らしが嫌味で少し指せると思いました。
少し進んで上図。△4二銀が悪手で、ほぼ敗着に近い手になりました。▲4一銀が厳しい一手で、△5三銀の一手に飛車を切って▲7一角で収集不能の格好で勝勢に。
上図は最終盤の局面。ここから▲4三銀成から▲3二銀が相手の金を剥がし、上擦らせる寄せの決め手で投了に。
快勝で幸先の良いスタートになりました。
二回戦のお相手は山陽の方。こちらも今年の学生大会全国優勝者で、勢いのある若手と二回連続で当たって驚きました。ちなみに去年のアマ王将山陽でも対局しており、本当に色んな大会で頻繁に当たる方です。
さて、戦型はこちらの先手向かい飛車にお相手のミレニアム。練ってきた作戦というわけではないのですが、前日の夜にしていたAbemaトーナメントの青嶋ー森内戦を思い出して急遽採用することに。
先手向かい飛車は相手の序盤の出方次第の戦型のため、採用頻度は少ないのですが、好きで密かに勝率が良いこともあり、久しぶりの登板に胸躍らせていました。
上図は序盤の駒組みが終わった段階ですが、こちらから次に▲6六角や▲3八飛などがあり、少し作戦勝ちを意識してましたが、前述の対局のように△9二角!なら互角のようです。ちなみに感想戦ではお相手も△7四角は指すか迷っていたと言っていました。
本譜はここで8筋の突き捨てから△7九角の意表の仕掛けをしてきました。
△8七歩と攻めの継続を図ってきた局面。ここは如何にも捌けそうな局面で振り飛車の腕の見せ所。
本譜は▲7五角と打診をして、△8二飛に▲3五歩と急所の突き捨てを入れました。
そして、先ほどのお返しと言わんばかりに▲7一角の強襲をして、▲5三角成と馬を作りもたれることに。振り飛車らしい手順で仮に最善ではなくても相手に刺さっている攻めの手応えを感じました。本譜はこの後、飛車も桂も捌いてはっきり優勢に。
下図は終盤戦。△6四角に▲6三馬、△4六角と進行したのですが、これがどうだったか。明らかに相手の角のほうが働いている位置になってしまったので、損だったように思います。
本譜は当初の予定通りに、このと金攻めに期待した攻めをしましたが・・・こちらが歩切れで相手が香車を拾える格好なので危険な順に入っていると対局中は思っていました。
攻め合いの最終盤。△2八角成は厳しい攻めですが、ここで▲同金上が穴熊の秘術。4九の金を一枚渡してもZをキープするほうが重要なのです。
本譜は金を取らずに△2二銀打と受けに回りましたが、▲6一角が厳しく勝ちに。振り飛車穴熊らしい一局での勝利となりました。
三回戦は山陽の方。とても強く実績もある方で、暫く大会には出ていなかったようですが、ここ一年ほどで復帰されたようです。センスのある将棋で、過去の対局では自分の得意の中盤で読み負けることが多かったです。
戦型はこちらの菊水矢倉に相手の雁木。
菊水矢倉はプロでもアマでもあまり指されていないですが、棋理的にも実戦的にも非常に有力な作戦だと思って試行錯誤しています。
特に終盤でZがつくりやすいというのが大きなメリットだと思っていて、相居飛車でありながら、対抗形にも近い距離感の玉形の堅さがあります。
高田-上野戦(2024.9.20 新人王戦)や石井(健)-渡辺(明)(2021.5.25 王座戦)は好例なので是非並べてみてください。
菊水矢倉側の駒組みのコツはいくつかありますが
- 飛車側の端歩の突き合いを入れておくこと。これによって攻めの筋が大幅に広がります。
- ギリギリまで▲8九玉と寄らないこと。
特に二つ目が気づきにくいですが、かなり重要な工夫。
こうすることによって下図のように8筋の飛車先交換には▲8五歩と蓋をすることができます。この時に▲8九玉型だと△同桂、▲8七銀に△7七桂不成で失敗です。
相手が飛車先交換せずに△8一飛車や△6二飛車と回ってきたなど、良いタイミングで▲8九玉と寄るのが作戦勝ちを目指すコツになります。
このあたりはまた別記事で詳しく書きたいですね。
本譜は上図まで進み、ここで▲3七桂から▲4八角としたのですが、これがどうだったか。シンプルに▲3七角として▲4六歩と交換をした後に下図のように四枚に囲うのが賢い指し方だったと思います。
本譜は△3五歩と突かれるのが当然ながら厳しく、自信のない展開に。▲7九玉や▲4八角などの全ての形が不完全ではっきり損。ここにきて経験値の浅さが出て、失敗の序盤となってしまいました。
更に進んで下図。△4六歩に▲5七金と捻った受けをしたのですが、ここで△7五歩が筋ではっきり痺れた格好。
更に局面が進んで、ここで△7六歩▲同銀△8六飛という時間稼ぎの手順が生じたため、千日手を期待してたのですが、ここからの後手の指し方が非常に実戦的で巧みでした
△4二金引!▲7九銀 △4三銀! ▲6八角 △1六歩! ▲2五飛 △7四歩!
はっきりした攻めがわからない場合は暴発をせずにじっくり形を整えて確実に得な手を積み重ねておくという高段者らしいスタンスで、形勢は少し難しくなってると思うのですが、相手玉が兎に角固すぎます。
上図では馬を作ってここは唯一のチャンスが来たと思ったのですが、ここで△8三飛車打ちが驚愕の一手。明らかにいい手ではないのですが、二枚の飛車が並んだ絵面はすごい迫力で、思わず動揺してしまいました。そして、ここで▲7四馬としたのですがこれが敗着に近い悪手。代えて▲6四馬としておけば互角の将棋でした。
本譜は▲7四馬に△7六歩と打たれて▲8三馬から飛車を取っておろしたのですが、△4一歩が鉄壁。
以下は丁寧に押し切られて負け。この将棋も過去の対局同様に中盤で突き放されてしまって残念でしたが、素直に相手が強かったです。
大会後
帰りは知り合い達と一緒に、地元民オススメのうどん屋さんへ。夕方なのにかなりの行列ができていて驚きました。気になる味ですが、格別に美味しかったです。香川でうどんは何度も食べに来ているのですが、その中でもトップレベルだと思いました。またいつか寄りたいですね。
今回の戦績
ベスト16
関西編へ続く
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