こんにちは。今回は戦略と題して持ち時間の使い方について。私がまだ大会で活躍出来てない頃、このことを意識するようになってから、明らかに勝率が安定して良くなりました。
棋力はある程度高いのに大会では安定して勝つことが出来ない方の中には、「持ち時間の使い方が対局毎にまばら⇒発揮する実力にムラが生じている」ことが原因の方も多いと思います。安定して勝つために悩んでいる人にとっては参考になると思いますので是非ご一読を。
センター試験と持ち時間
突然ですが、皆さんはセンター試験(今だと共通試験)を受けたことはありますか?受けた事がある方は分かると思うのですが、問題を解く基礎学力以外にどの問題にどれくらいの比重で時間を使うか?なども学校で教えられた方も多いのではないでしょうか?これを将棋で例えるなら基礎学力=棋力、問題を解く時間配分=持ち時間の使い方。となります。
私は大会の前日に必ずする事が二つあります。
- 指す予定の戦法の復習
- 持ち時間の配分を序盤中盤終盤で考えておく
一つ目については、気になる変化のおさらいをすると同時に、狭い地区大会や代表が決まっている上位大会なら当たりそうな相手によって先後ともに戦型想定も行います。
二つ目は、大会によって持ち時間が違う(切れ負けの時もある)ので大会ごとに考えます。遅くとも初戦の対局までに考えておかないと、大会中は必死で、あまり余裕がないので前日までに済ましておくことが多いです。
実際にどうやって比率を考えるか?
さて、持ち時間の配分を考えるには自分自身の将棋を何よりも知っておく必要があります。
例えば私の場合だとこのように分析をしています。
- 序盤は独自の研究で決まった形に進めるので、あまり持ち時間を使わずに済む。
- 中盤戦での読み合いや大局観に自信があるため形勢を良くするために時間をつかう。
- 逆に終盤は受け間違いや頓死が非常に多いため、時間をなるべく残しておきたい。
- 戦型は、主に対抗形を選択する。
- 序盤から激しい展開には持ち込まない。中盤でじっくり動き出すタイプ。
分析の結果、序盤:中盤:終盤=2:5:3くらいで時間を使うようにします。(持ち時間20分30秒だとしたら序盤4分、中盤10分、終盤6分+秒読み)
メリット
持ち時間を決めておくことのメリットとして、
- 局面以外で考えておく要素が減る(目の前の対局への集中)
- どういった棋力の相手でも、自分の力が出る時間のペース配分で指すことで、格下には負けにくく、格上にも力を出しやすくなる。(展開の安定化)
- もし予定の配分以上に消費している場合は、形勢が難しい、苦しいのだなと俯瞰して見ることが出来る。(客観的状況判断)
特に、2は一番重要で、一発トーナメントのアマ大会では色んな方が参加されています。その中で例えば、相手の早指しにつられて自分も早指しをしているうちに取り返しのつかない劣勢に陥ってすぐに負けるなどといったことを防げるのは大きいです。
あまり気にしなくても良いケースは・・・?
この持ち時間を決めることは小中高校生ではそこまで意味はないと思っています。子供は基本早指しが多く、あまり細かいことに意識しなくても指すだけでも強くなれる歳のためです。(羨ましい…)
ただ、アマの全国大会、大学将棋、そして当然ですが、奨励会員にとってはこの時間配分は非常に大切です。持ち時間が長い、更に秒読みが60秒だとより重要になります。これがしっかり出来ているということは勝ちパターンの確立に繋がるのでより高みを目指すうえでは必要な戦略になります。
まとめ
まとめます。
- まず自分自身の棋風や戦型選択(長所も短所も含めて)を知る。
- 知ったうえで序盤中盤終盤のどこに時間を割くかを決める。
- 子供はあまり気にしなくて良いが、ある程度年齢的に成熟していてより高みを目指したいという方には有効。
です。是非参考にしてください。
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