【自戦記No.6】後手ノーマル三間飛車穴熊対居飛車穴熊(相穴熊)

自戦記

今回は、アマ王将巡りから少し経った後の遠征での将棋について。

一番強い人


▲2六歩 △3四歩 ▲7六歩 △4四歩 ▲4八銀 △3二飛
▲2五歩 △3三角 ▲6八玉 △4二銀 ▲7八玉 △6二玉
▲7七角 △9四歩 ▲5六歩 △5四歩 ▲5七銀 △7二玉
▲8八玉 △5三銀 ▲9八香 △6四銀 ▲6六銀 △8二玉
▲9九玉 △9二香 ▲8八銀 △9一玉 ▲7九金 △8二銀
▲5九金 △7一金 ▲6九金右 △5一金 ▲6八角 △6一金左
▲2四歩 △同 歩 ▲同 角 △2二飛 ▲2五歩 △5二飛

この将棋は千日手指し直しの一局。そのため初手から一手30秒の秒読み将棋。

お相手は現在のアマチュア将棋界で一番強い人。

自分の将棋がどこまで通用するか試したくて、私はノマ三穴熊を採用。

▲2四歩の仕掛けは非常に有力な指し方。図の△5二飛はちょっとした変化球。

穏やかな進行へ


▲6八角 △2三歩 ▲8六角

△5二飛のところは△7二金左が最も自然。

ただ、千日手局で先手番で同じような指し方をしたのもあって、今日はこの指し方でいこうと決めていた。この辺りは実戦の妙だと思う。

本譜は▲6八角と引いて穏やかな進行になったが、この場合は▲3三角成が成立していた。

以下は△同 桂 ▲2四歩 △4五桂 ▲4三角 △5五歩(変化図)でどうか。厳密には少し悪かったと思う。

ただ、振り飛車の桂馬が捌けて5筋の歩が突けており、端歩を振り飛車だけ突けていることもあり、この瞬間の見た目でいうと評価値ほどの差はなさそうなので、居飛車としては選びにくい変化だと思う。

大きく得した駒組み

△4五歩 ▲2四歩 △同 歩
▲3六歩 △7二金左 ▲3七桂 △4二飛 ▲6八角 △9五歩
▲7八金右 △1四歩

△4五歩から振り飛車側は自然な駒組みが続く。ただ、居飛車は角の動きで二手損しており、その分振り飛車は△9五歩と玉側の端歩の位を取れて、更に△1四歩も突くことが出来た。

大きく得をした駒組みとなった。

ペースを握る

▲3五歩 △同 歩 ▲2六飛 △4四飛
▲3五角 △3四飛 ▲3六歩 △4二角 ▲1六歩 △7四歩
▲7七銀引 △7三銀引

▲3五歩は仕掛けるならこの一手。

▲7七銀引 △7三銀引は互いに間合いをはかったような手だが、次に△6四角が厳しい一手でこちらが得した格好。序盤の得も重なり、ここで小さいが大きいリードを奪えた。

本当のスタートライン

▲5五歩 △6四角 ▲4五桂 △4四歩
▲2四角 △4五歩 ▲5一角成

▲5五歩は筋で、単に△同歩だと▲4五桂が味がいいので△6四角は予定通りの一手。

△4四歩~△4五歩で桂得になったが馬を作られた局面。

いよいよ終盤戦でここからが勝負の本当のスタートラインだったのだが・・・

差が詰まる

△1三桂 ▲2一飛成 △3一飛
▲同 龍 △同 角 ▲2一飛 △6四角 ▲1一飛成

△1三桂がやや疑問手。ここは先に△3一飛と引くところだった。以下▲5二馬 △7五歩 ▲同 歩 △1三桂 ▲2二飛成 △3六飛(変化図)ではっきり優勢だった。これなら相手の馬の位置が悪く、急所の7筋に手もついている。

実戦の進行も悪いわけではなかったが、差が詰まってしまった。そしてここで私に悪手が出る。

一瞬で悪くなる

△2五桂
▲6六香 △5五角 ▲2一龍 △2九飛 ▲5三歩

△2五桂が悪手。ここは△2九飛車と打っておき、以下▲1三竜に△7五歩と突いておけば難しかった。

兎にも角にも△7五歩が端歩の位、角の位置、持ち駒の桂歩を活かす三位一体の一手で、この手の大きさに気づけていなかった。

▲6六香が地味に厳しい一手。△5五角と歩を払わせてから▲5三歩と垂らすのが厳しい一手で、不利に。序中盤の貯金が無くなり一瞬で悪くなった。

食い下がる

△9六歩 ▲同 歩 △9七歩 ▲同 香 △8五桂 ▲8六銀 △9七桂成
▲同銀引 △9四香打 ▲5二歩成 △1九飛成 ▲8五桂

何もしなければと金で剝がされてゲームセット。

そのため端攻めは必死の食い下がり。ただ、角の位置や持ち駒の少なさが災いしてあまり威力がない攻め。

チャンス

△8四香 ▲6一と △8五香 ▲7一と △同 金

▲8五桂は若干危ない手でここでは△8四銀としたほうがよかった。

以下は▲同 馬 △同 歩 ▲6一と △8五歩 ▲7一と △同 金 ▲8四金 △6二角(変化図)で粘る。

▲8四金まで読んで、持ち駒が受けに効かない不器用な駒ばかりで勝てないと読みを打ち切ったが、△6二角の催促がなるほどで、角が睨んでいる関係で▲6三香成はやりにくいので、形勢不利でもまだ勝負形だった。

本譜も△8四香と反撃含みで打ったが、と金で剝がされたこの局面で思ってもいない手を指される。

独特な好手

▲9八金!

△8四桂 ▲7三馬 △同 角 ▲6三香成 △9六桂 ▲同 銀 △9七歩
▲同 桂 △9六香 ▲9三歩

▲9八金が独特な好手。△9八歩の叩きを許さず、8~9筋の香車による反撃を防いでから攻めを間に合わるための受け。

ソフトにこの局面を読ませると、最初は▲7三馬~▲6三香成を第一候補に挙げてこの手はそこまで評価が高くないのだが、▲9八金を入力して暫くすると同じくらいの評価値になる。

お相手の方の将棋は勉強のためによく見るのだが、自分の読みにはないこういった好手が多く、いつも面白いなと思って見ている。

△8四桂に満を持して馬切りから香車を成られて苦しい展開。

逆転の味

△9七香不成 ▲9二歩成 △同 玉
▲9七金 △5五角 ▲9三歩 △同 桂 ▲7三桂 △8四歩

▲9三歩に△9七香不成としたが、これは逆転の味のない攻めだった。香車を王手で取られて▲9七金と手を戻されてはどうしようもなくなった。

悪くても△9三同香と取る一手で以下、

△同 香 ▲9二歩 △同 玉 ▲9四歩 △同 香 ▲9三歩
△同 玉 ▲8五桂 △9二玉(変化図)で相手にプレッシャーを与えるほうがよかった。

△8四歩は逃げ道を広げた手だが、受けにはなっていない。

正確な寄せ


▲8一桂成 △9五桂 ▲8二成桂 △同 金 ▲8一銀 △8三玉
▲7二銀打 △9四玉 ▲9六香

▲8一桂成が洒落た一手で金で取ると竜を切られて詰み。玉だと▲7二銀から必死をかけられる。

△9五桂は自玉の詰み筋を減らしながらの反撃だが、▲8一銀~▲7二銀打が一見重たいが正確な寄せ。▲9六香でいよいよ受けがなくなってしまった。

見切られる

△8八角成 ▲同 玉 △7七銀
▲同 金 △9九角 ▲9八玉 △8七香成 ▲同金右 △7九龍
▲9五香

角切りからは最後の特攻。ただ、△9五桂が動かせないのでどうしても届かない。見切られてしまい、終局図以下は簡単な詰み。

終わりに

短い持ち時間で強敵相手に自分の得意をぶつけて善戦はしましたが届かず。やはり強い人は中盤の終わりから最終盤までが特に正確だと思いました。

大会後はお相手の方含めて、他のアマ強豪の方と一緒にご飯に行って、楽しいお話をたくさん聞けて楽しかったです。また遠征して参加してみたいですね。

コメント

  1. あお より:

    今のアマ最強ってなるとだいたいあの人だろうけど、さすがに強い…

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