お久しぶりです。あと1か月半で年度が替わるので、来年度の抱負もかねて2022年度の大会の将棋について書きました。
レジェンドとの一戦
初手から
▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △3二金 ▲2五歩 △3三角
▲同角成 △同 金 ▲7八銀
(第1図)
この将棋は全国大会での一局。お相手はアマ棋界のレジェンド。幾多の全国大会で優勝をされている生ける伝説です。いつか戦いたいと思っていたので、当たれることに感謝していました。
さて、将棋のほうですが先手の私は居飛車を選択。対する後手は4手目△3二金から力戦角換わりへ誘導されました。
何気なく上がった▲7八銀ですがこの手が本局の流れを大きく変えることに・・・
意表の筋違い角
第1図から
△6五角(途中図)
▲3八銀 △7六角 ▲4六歩 △8四歩 ▲3六歩 △8五歩 ▲7七角 (第2図)
本譜は筋違い角を放ってきました。意味としては銀が既に7八に上がっているので上部に厚い矢倉の形に組むまでに時間がかかります。よって仮想図のように進んでしまうと、筋違い角+棒銀の攻めが炸裂して先手が不利になるという算段です。
ただ、私もこの筋違い角には用意の手がありました。それが▲7七角です。
理想的な展開
第2図から
△2二銀 ▲3七桂 △5二金 ▲4七銀 △4一玉 ▲4八金 △6五角 ▲5六銀 △9二角(第3図)
▲7七角の狙いは以下の3つがあり、意味合いが広く、後手の筋違い角より働きが良いと判断しました。
- 8筋を受ける
- ▲4五桂とのコンビで攻勢を図る
- △4四歩を突いて角を4三や3二角と収納しようとしたら、争点ができるので▲4五歩と攻める手を見せる。(間接的に、角を好位置に引かれないようにする)
もし相手の形が通常の矢倉なら効果は薄いのですが、△3三金型の場合は▲4五桂馬や▲4五歩の仕掛けに対して当たりが厳しく、効果が高い攻めになっています。狙っていた通り、△92角と引いた局面はこちらの▲7七角のほうが働いており、模様の良さを感じました。
作戦勝ちへ
第3図から
▲6八玉 △6二銀 ▲9六歩 △4二金
▲1六歩 △3二玉 ▲4五桂 △4四金 ▲2四歩 △同 歩
▲同 飛 △2三歩 ▲2七飛(第4図)
3図からは陣形整備の時間になりましたが、待望の▲4五桂馬で金を歩頭に追いやって、2筋交換を出来た図は作戦勝ちに。また、歩交換後の▲2七飛車も細かいところですが大事な一手で、▲2八飛車だと割打ち、▲2九飛車だと角の軌道上に飛車がいるのが気になります。
曲線を描く
第4図から
△5四歩 ▲9五歩 △8六歩
▲同 歩 △8八歩 ▲9七桂 △8九歩成 ▲同 銀 △7四歩
▲8五桂(第5図)
後手は、このままでは9筋の角をいじめられつつ先手に手を作られてしまうので、8筋から無理気味に動いていきました。先手の形を乱しての△7四歩は遅ればせながら駒の活用を見た一着ですが、相手の突き捨てを利用して跳ねた▲8五桂馬が味の良い手。相変わらずの角頭攻め狙いと8筋の守りにも聞いている攻防の駒になっています。
序盤の小さな模様の良さが作戦勝ちになり、中盤の有利へと実を結ぶ、所謂、藤井曲線と呼ばれる理想の形勢推移になってきました。
優勢へ導く強手
第5図から
△7五歩 ▲7八銀 △7四角 ▲6六角 △7二飛
▲7五角 △5五歩 ▲4七銀 △6五角(第5図)
形勢が良くなると良い手がどんどん出てきます。▲6六角は相手の主張の7五歩を刈り取ろうとする地味に厳しい1手。対する後手は銀を追いやって△6五角と出ましたが、ここで優勢を決定づける強手が出ます。
▲4二角成! △同 玉 ▲6六歩 (途中図2)
△5四角 ▲7三歩 △同 桂(第6図)
▲4二角成が強手。△同玉に▲6六歩と突き、角が9筋に逃げれば▲9四歩。
ほかの場所は何れも▲7三歩と叩き、△8二や△7一飛車には▲7二金から銀を取って▲5三銀があり、△9二飛車には▲8三金で飛車が死んでいます。
押し切っての大金星
第6図から
▲8三金 △7一飛
▲7三桂成 △同 銀 ▲同 金 △同 飛 ▲6五桂(途中図3)
△7三同桂にも▲8三金から清算して▲6五桂が厳しい攻め。角切りで薄くなった後手玉は持ちそうにありません。
途中図3から
△同 角 ▲同 歩 △4一桂 ▲6二角 △7四飛 ▲5三銀 △3二玉
▲4四銀成 △同 歩 ▲5三桂成 △3一銀 ▲4三金 △2二玉
▲5一角成(終局図)
以下は足し算の攻めで寄りに。終局図は時間切れでの勝利でしたが、こちらへの攻めもなく、後手玉は1手1手なので投了もやむを得ない状況でした。
終わりに
今回の勝利は大きな自信となり、この全国大会はベスト8まで勝ち上がることができました。2023年は県大会で安定して代表をとって、全国ベスト4以上を目指して頑張ります。
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